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タイル職人の仕事内容とは?求められるスキルやおすすめの資格も紹介
タイル職人の仕事内容とは?求められるスキルやおすすめの資格も紹介
投稿日:2023年06月05日 (月)
建設現場や内装工事の現場では、さまざまなスキル・技術をもった職人が活躍しています。
なかでも、美しい外壁や内装を仕上げるうえで欠かせないのがタイル職人とよばれる専門職です。
その名の通り、一言でいえばタイルを張る作業を担う職人ですが、一見簡単そうに見える仕事でも高度なスキルが求められます。
本記事では、タイル職人の仕事内容について詳しく解説するとともに、タイル職人に求められるスキルや技術、もっておくと武器になる資格などもあわせて紹介します。
タイル職人とは
タイル職人とは、別名「タイル工」ともよばれる専門職のひとつです。
タイルや石材などを使用し、建物の床や壁、外装などの表面を美しく仕上げる職人です。
私たちが暮らす建物を注意深く見てみると、玄関や浴室、外壁、ベランダなど、いたるところにタイルが使用されていることがわかります。
規則的かつ均等に張られたタイルは、見た目にも美しく建物の印象を左右するほど重要な存在です。
タイル張りの作業を見ていると、パズルのように簡単な作業に思えてきますが、実際にやってみると下地であるモルタルを均一な厚さに張り付けるのが難しかったり、タイルの一部が曲がったりすることも少なくありません。
無数のタイルが均一に並ぶからこそ、ひとつでも曲がっていたりタイルの間隔がバラバラになっていたりすると、目立ってしまいます。
そのため、タイル張りを美しく仕上げるためには、高度なスキルと技術をもった腕の良いタイル職人が不可欠な存在なのです。
タイル職人は一般住宅の新築・リフォームはもちろんのこと、ビルの建設現場や内装工事にいたるまで多様なプロジェクトに携わります。
タイル職人の仕事内容
タイル職人の仕事内容を一言で表すとすれば、タイルをきれいに張り美しく仕上げることです。しかし、これだけでは抽象的であり、どういった作業に従事しているのかイメージしにくい方も多いでしょう。
そこで、タイル職人の仕事内容をもう少し詳しく具体的に紹介します。
タイル張りの工程を細分化すると、主に以下の6つに分けることができます。
タイルの割り付けをする
タイルの仕上がりはほぼ割り付けで決まると言われるくらい重要な工程です。
タイルは製品ごとに決まったサイズと寸法があります。
タイル工事は壁や床にタイルを敷き詰めていきますが、現場の寸法に合わせてピッタリタイルがハマると美しく仕上がります。
どのようにタイルを張るかを決めることを割り付けと言います。
図面に割り付け方が記載されている場合が多いですが、図面と現場の実際の寸法には誤差がある場合もあり、まず現場で割り付けをして仕上がりを決めることがタイル張りとって重要な工程です。
タイルがピッタリとはまることも少なく、カットしたものを現場の上下、左右どちらに入れたほうが良いか等もこの工程で考えます。
また、タイルは細く切ったハンパを入れると美しくないことが多いので、できるだけ細いハンパを入れない割り付け方を考えます。そのためにはタイルを心割する、片割りする、目地幅で調整するなど考えられる方法が多く、タイル工事にとっては、その人の技量を発揮できるところでもあり、面白みのある部分の一つです。
張り付け材(モルタルや接着剤)の混合・準備
壁や床などにタイルを張る際には、モルタルとよばれる下地を形成し、その上から特殊な接着剤を用いて張っていくという作業を繰り返します。
そのため、まずはタイルを張る前に、モルタルや接着剤を混合し準備しておく必要があります。
ちなみに、接着剤は使用せずモルタルのみでタイルを接着する工法もありますが、この場合でも下地用のモルタルと接着用のモルタルの2種類が用いられるケースが多いです。
張り付け材の塗布
張り付け材が準備できたら、タイルを張り付ける床や壁の表面に塗布していきます。
ここで重要なのは、張り付け材の厚さを均一にすることです。場所によって厚みが異なっていると、タイルを張った際に表面へ凸凹ができたり、タイルの隙間からモルタルがはみ出てきたりすることがあります。
また、張り付け材を均一に塗布することにより、タイルがしっかりと接着し長期的な耐久性も確保できます。
タイルの切断
必要に応じて適切なサイズ・大きさにタイルを切断するのもタイル職人の重要な仕事です。
たとえば、床や壁の端は既存のサイズのタイルがぴったりとはまることは稀であり、面積に応じてカットしなければなりません。
タイルの切断には、タイルカッターやタイルソーといった専用工具が必要であり、タイル職人はこれらを安全に正しく使用できなければなりません。
タイルの敷設
モルタルの塗布が完了したら、いよいよタイルを敷設する工程に入ります。
タイル張りを美しく仕上げるためには、タイルを一定の間隔で正確に張り、レイアウトの計画通りに調整することが求められます。
所定の位置にタイルを合わせ、接着剤を使ってモルタルと密着させた後は、接着剤が乾くまでタイルの位置を微調整します。
瞬間接着剤のように瞬時に密着するものではありませんが、時間の経過とともに固まっていくため素早く作業を行う必要があります。
目地塗り
目地塗りとは、タイルの隙間を埋める作業のことです。
接着剤でモルタルにタイルを固定しただけでは、タイルとタイルの隙間に汚れが付着しやすくなるほか、水がタイルの内部にまで浸透し剥がれ落ちやすくなります。
これを防ぐために、専用の目地材料を使用して隙間を埋めます。古い建物ではモルタルを目地材として使用してきましたが、現在は地震による変形や割れを防ぐために、合成樹脂の目地材が使用されることもあります。
仕上げ
最後に、仕上げの作業としてタイルの表面や目地に付いた汚れや余分な材料を取り除きます。
タイルを傷つけないようハケのような柔らかい素材のもので払い落とすのが一般的です。
また、モルタルによって目地を作った場合には、その上から合成樹脂のシーリング材を塗布しタイルの内部に水が侵入しないように対策を施します。
タイル職人に求められるスキル・技術
タイル職人の仕事は、高度なスキルや技術が必要です。また、職人としての適性があるかどうかも仕事の向き・不向きを決定づける要素となります。
具体的にどういったスキルが求められるのか、いくつか代表的なものを紹介しましょう。
体力
タイル職人の仕事は屋内・屋外の現場を問わず体力が求められます。長時間にわたって同じような姿勢を維持したり、中腰のような姿勢で作業をしなければならないことも多いため、体力が少ない、または力仕事が苦手な方にとっては過酷な仕事に感じられるでしょう。
手先の器用さ
建設現場の作業と聞くと重労働で重い建材や機械などを扱うイメージがあり、手先の器用さとは無縁の世界に思われるかもしれません。
しかし、タイル張りの作業では美しい見た目に仕上げるために目地を丁寧に作ったり、余分な材料を取り除いたりと繊細な作業も多いです。
そのため、手先が器用でない方や細かい作業が苦手な方にとっては向いていないと感じられるかもしれません。
空間認識力
空間認識力とは、一言でいえば物体の状態を正確かつ瞬時に把握できる能力のことを指します。
空間認識力が備わっていないと、タイルを張る際に間隔がバラバラになってしまったり、上下左右に曲がったりすることも。
美しいタイルに仕上げるためには、全体を見て均一な間隔や方向を維持できる感性・能力が求められるのです。
コミュニケーション能力
タイル職人は、お客様または現場の責任者とコミュニケーションを取りながら、タイルのデザインや施工範囲などを正確に理解する必要があります。
コミュニケーション能力が備わっていないと、希望や指示通りの作業ができず手戻りが発生するリスクもあるでしょう。
営業職のような高度な交渉力は不要ですが、最低限のコミュニケーション能力は備えておく必要があります。
タイル職人になるために有利な特別教育・資格
タイル職人は特別な資格や免許がなくても従事することができます。実際に建設会社や内装施工会社、工務店などの求人では未経験者を対象とした案件も少なくありません。
しかし、建設業界はどこも人手不足が続いており、十分な教育や研修が受けられないこともあります。
そこで、専門的な資格を取得しておくことで、即戦力とまではいかないまでも早期に仕事を覚えることができます。
どういった資格が有効なのか具体的に紹介しましょう。
足場の組み立て等作業従事者(特別教育)
足場の組み立て等作業従事者は、建築現場において欠かせない存在です。高所での作業や重量物の取り扱いが多いため、高い身体能力や技術力、コミュニケーション能力が求められます。また、安全対策にも十分な配慮が必要です。なお、足場の組み立て等作業には、代表的なものとして以下資格があります。
足場の組立て等作業主任者
「足場の組立て等作業主任者」は、労働安全衛生法に定められた国家資格です。
足場の組立て等作業主任者は、足場の組み立て等作業を監督する責任者です。建築物の高さや規模によって、必要な資格や実務経験年数が異なります。この資格保有者は、安全性や品質の管理を行うことができます。
足場の組立て等作業従事者
足場の組立て等作業従事者は、足場の組み立て等作業を行うために必要な資格です。安全対策や適切な手順に従って、足場を組み立てることができます。
技術的な能力として、足場の構造や強度についての知識が必要になります。また、足場の構築に必要な技術や道具の使用方法も理解している必要があります。さらには技術的な能力に加えて、計画的な作業方法を考える能力や、問題が発生した際に迅速に対処する能力も重要となります。
自由研削砥石の取替え業務(特別教育)
自由研削砥石の取替え業務は、工場や製造現場などでもよく行われる作業の1つです。砥石は、金属を削ったり磨いたりする際に使われる重要な道具です。しかし、長期間使用すると砥石は磨耗し、削れる力が弱くなってしまいます。そのため、定期的に砥石を取り替えることが必要になります。
自由研削砥石の取替え業務を行う必要性
自由研削砥石の取替え業務を行う必要性は、砥石が劣化し、研削能力が低下することによって、製品の品質が悪化することを防ぐことです。また、砥石が磨耗している状態で使用し続けると、作業の効率が低下し、作業時間が増えてしまいます。そのため、砥石を定期的に交換することは、作業効率を上げるためにも必要な作業と言えます。
自由研削砥石の取替え業務に求められるスキル
以下のような技術的な能力が求められます。
・砥石の種類や劣化状態を判断する能力
・砥石の取り付け方法や取替え作業の手順を理解していること
・安全対策に関する知識や技能を持っていること
・機械の操作方法やメンテナンスの知識があること
自由研削砥石の取替え業務(特別教育)資格
自由研削砥石の取替え業務は、厚生労働省が労働安全衛生法によって定めている国家資格となります。この資格を取得するためには、「自由研削砥石の取替え業務」に関する知識や技術を習得するための特別教育を受講する必要があります。特別教育では、自由研削砥石の取り扱い方法や安全対策、取替え作業の手順などについてを学びます。
資格取得者には「自由研削砥石の取替え業務(特別教育)技能検定証」が交付されます。この証は、自由研削砥石の取替え業務を行うことができる資格を持っていることを証明するものです。
タイル張り技能士
タイル張り技能士は国家試験のひとつであり、その名の通りタイル張りのスペシャリストを認定するものです。
この資格は1級・2級があり、いずれも実務経験が必要です。そのため、上記の資格とは異なり、タイル張り職人として未経験者は受験することができません。
ただし、実務経験を重ねながらタイル張り技能士の資格を取得できれば、その後キャリアアップを目指し転職する際にも大きな武器となるでしょう。
未経験からでもタイル職人を目指すことは十分可能
深刻な人手不足が続くなかで、転職を目指す求職者にとって現在の求人市場は有利といえるでしょう。
しかし、長い目でキャリアプランを考えたとき、ほかの求職者にはない自分だけの強みや武器を身につけておきたいものです。
タイル職人は未経験からでも採用してもらえるケースが多く、知識やスキルがゼロの状態からでも手に職をつけることができます。
将来を見据えてキャリアアップを目指すためにも、タイル職人という道に挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。
原田左官工業所では異業種からタイル職人になった方も多く、平均年齢は37歳と若いスタッフが活躍している会社です。
資格取得をサポートするだけなく、新人講習やキャリアアップ講習などの社内研修も充実しており、これからタイル職人を目指す方をしっかりとサポートしています。
最新技術を習得するために海外研修に行く場合もあります。
タイル職人について興味があれば、先輩の声やどんな業務があるかなど、専用サイトにて紹介していますので、ぜひ以下よりご覧ください。
この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ