レンガ積み
レンガ積み
レンガ積み (原田宗亮)
今回は、左官ではなく、煉瓦のお話です。
現在、煉瓦積みの専門業の方はだいぶ少なくなってしまいましたが、
元々は煉瓦施工も左官職人が行っていました。
日本は地震が多いため、大きな建築物を煉瓦で作ることは向いていませんが、
現在でも花壇や竈の耐火煉瓦など様々な場所で使用されています。
ここでは意匠として使う煉瓦のお話をします。
煉瓦は粘土を型に入れ、焼き固めている(または乾燥させている)ため、
土の風合いを残しながらも、強い構造物であります。
煉瓦というと赤煉瓦のイメージが強いですが、
焼き固める段階で土の中の鉄分が変化するため、赤くなるそうです。
今回復元された東京駅の赤煉瓦や横浜みなとみらいの赤レンガ倉庫など、
それだけで意匠的にすばらしいものが多いです。
現在では煉瓦を透かして積み上げ、
採光と目隠しの機能を持たせた煉瓦積みの壁も多いようです。
この施工は、レンガを積んでいる部分に鉄筋を通すため、
この場合だと両サイドに鉄筋を通す孔が空いてあり、モルタルを詰めて施工します。
また、日本では煉瓦の寸法は210mm x 100mm x 60mmとJISの規格で定められており、
全形(おなま)で使用するだけでなく、
ようかん(210mm x 50mm x 60mm)や、半ます(105mm x 100mm x 60mm)などカットすることで、
様々な寸法があります。
それを組み合わせて、デコボコに煉瓦を積んだり、
斜めにカットして厚みを見せたりする施工も流行っています。
また、煉瓦は構造物という考えから離れて、もっと大胆に意匠的に使っている現場もあります。
スライスした煉瓦を使い、モルタルやベニヤの下地の上に張り付け、
煉瓦の意匠壁を見せるという技法です。
これだと、煉瓦の積み方をどうすればよいかという考えから離れ、
自由に煉瓦を貼り詰めた壁を作り出すことができます。
また、煉瓦調のタイル(ブリックタイル)というのもあります。
煉瓦の意匠性をタイルで表現したもので、赤、焦げ茶、白など様々な色があり、
PBのうえにも施工できます。
色をMIXされているものもあり、焼きすぎ煉瓦などに近い風合いのものあるので、
こちらもお勧めです。
白は美容室や洋服屋さんの壁によく使用されています。
日本では、あまり無いですが、日干し煉瓦というものもあります。
乾燥させて作る煉瓦なので、雨の降る日本ではあまり向いていないといわれていますが、
最近ではセメントを入れたものもあり、外部でも使用できるものもあります。
日干し煉瓦の場合、作成は職人さんが行うため、施工可能な職人さんの選定が必要なのと、
日干し煉瓦を乾燥させる場所と期間が必要になりますが、
製品の煉瓦よりも味のある土っぽいものになるので、期間がじっくりとある方は、こちらもご検討下さい。
復元された東京駅や法務省旧本館など日本でも、
本格煉瓦作りの建物を残そうという動きは多くあります。
最近では廃墟ブームで岡山県犬島の煉瓦建築も注目されています。
人気が復活しつつある煉瓦。是非、ご活用下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
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