左官は裏メニューが得意
左官は裏メニューが得意
左官は裏メニューが得意 (原田宗亮)
左官は裏メニューが得意
飲食店、特にチェーン店などではメニューには無い「裏メニュー」というものが存在しています。
トッピングが多めなものから、新メニューに出したほうがよいのではと思えるものまで、
様々あって面白いですね。
今回は左官での裏メニューの話です。
最近の左官仕上げでは、材料メーカーのカタログで、
「扇仕上げ」や「鏝波仕上げ」など決められた仕上げがあります。
メーカーによってはそこの会社独自の呼び方がある場合もあります。
ジョリパットのHPへ
アイカ工業:ジョリパット(ジョリパットアルファ)
http://www.aica.co.jp/products/fill-w/jolypate/jp-100/lineup.html
マヂックコートのHPへ
フッコー:マジックコート
https://www.fukko-japan.com/products/magic-coat.html
決められた仕上げ方法はありますが、それを少しだけアレンジして、
新しい仕上げを作成することが左官は得意です。
これが料理で言うところの「裏メニュー」にあたります。
決められた仕上げ方法に、
少しだけ、ワラを添加する、
装飾骨材を添加する、
塗る道具を変えてみる、
塗り方を変えてみるなどで、
仕上がりの模様、雰囲気がガラッと変わることもあります。
京壁ワラ増量の例
勿論、メーカーの標準仕様書からは外れてしまうので、
施工する左官職人とよく打ち合わせをし、テスト施工をする必要があります。
(メーカーの標準仕様から外れる場合、不具合があってもメーカーには責任を取ってもらえないからです)
そもそも、メーカーの材料も25年前までは仕上げパターンのラインナップは、
ローラー模様・吹付模様などしかなく、今よりも少なかったです。
各地の左官職人がそれぞれ仕上げ方法を考案し、採用されたパターンも多くあります。
当社の経験上、主材の2-3%程度の量で、硬化に影響しないものであれば、
混入しても強度は落ちず、ちゃんと仕上がります。
オリジナルの左官仕上げを初めから考えるとなると、かなりハードルが高いですが、
メーカーのものに少し骨材をトッピングしてプチアレンジするという方法であれば、
大体の仕上がり感が予想できますし、仕上がりの問題もほぼありません。
左官はカタログが無い商売とよく言われますが、
それは、今でも職人一人ひとりが手作業で仕上げているので、
同じものが無いからなのです。
腕の良い信頼の置ける左官屋に、
「裏メニュー」で頼んで独自の仕上がりを作り出す。
これこそ、デザインや普請の醍醐味ではないでしょうか?
何かをトッピングするだけでは物足りないという方は、
左官の材料、動作にまで踏み込んでみてはいかがでしょうか。
左官の仕上げは塗るだけでなく、
「埋める」「研ぐ」「洗う」「引っ掻く」など
他の動作を組み合わせることでまた違った表現が出来ます。
材料(固化材)によっても表情が変わり、
材料×トッピング材×動作によって無限の表現が可能です。
籾殻入り仕上げの例 固化材毎でワラの見え方・表情が違います。
樹脂系の固化材
じゅらく系の固化材
砂壁系の固化材
その他の例ではこんなものもあります。
研ぎ出しに違う種石をトッピング
洗い出しに丸モザイクタイルを埋め込み
黒い左官仕上げに金粉をトッピング
クシゴテをウェーブに動かすことで新しい表情に
決まった模様、定型のパターンに飽きている方は、
是非、左官に問いかけてみてはいかがでしょうか?
「こんなのも出来ますよ」と奥から裏メニューが出てくるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
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左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」
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