アク・シミ止め処理について
アク・シミ止め処理について
アク・シミ止め処理について(原田宗亮)
今回は内装左官に付き物のやっかいもの「アク」や「シミ」についてです。
以前、当社のブログでも紹介しましたが、好評だったので、メールマガジンでもお伝えします。
まずはアク・シミの種類について
1.ベニヤなど木材のアクを、塗り壁材が吸い寄せるケース
現代の工法では内部は石膏ボード・石膏ラスボード下地が多くなっていますが、
石膏ボードの下地では釘打ちに向かない、荷重がかけられないため、
壁掛けテレビを付ける場所などはベニヤを貼る場合があります。
しかしこのベニヤは左官仕上げをするに当たってはちょっと厄介な下地です。
ベニヤ面は木のアクを左官材料が吸い上げ、仕上げた面にアク(シミ)が出てしまうことがあります。
漆喰などは素材が強いため、アクを吸い上げる傾向が多いようです。
漆喰にベニヤのアクが出た例
2.元々の下地が吸い込んでいた汚れなどを新たな仕上げ材が吸い寄せるケース
和室の京壁の塗り替えなどで、下地を剥がして新たな仕上げ材を塗る・剥がさず既存の上に塗る場合に、
元々の壁が吸い込んでいた汚れがその上に浮き出てくることがあります。
タバコを良く吸っていた部屋・お線香を焚いていた部屋ではヤニが、
以前漏水を起こしたところではその時吸い込んだ汚水がアクとして出てくる場合があります。
最近ではビニルクロスの上に塗り壁を行うこともあります。
汚れを事前にふき取ったり、除去してもクロスにヤニが染み込んでいたりして、
やはり仕上げ材にアクが出ることがあります。
京壁にアクが出た例
漏水が発生した例
このように漏水などのシミが発生しているところでは、
今の京壁を剥がして塗り替えたとしても、
吸い込んだ汚水のシミが新に塗った仕上げ材に出てくるケースがあります。
(剥がして塗り替えたとしてもアク止めは必要です。)
1の場合も2の場合も、
石膏プラスターなどの下塗りを行ったとしても、仕上げ材を塗ると下地からアクを吸い上げ、
表面にアク・シミが出てしまうというケースが多くあります。
左官の材料は水で練って作る材料のため、乾燥までに水分をふんだんに含んでいる状態になります。
壁に水がくっついている状態なので、
木材の水溶性のアク成分を溶かす、または浸透して下の汚れを吸い出してしまい、
結果として仕上げ面にアクやシミとして出てきてしまいます。
そのため、アクを出さないようにするためには、
下地と左官仕上げの面を完全に縁が切れるように塗膜を作ること
が有効です。
原田左官では現在、3タイプのアクドメ処理を採用しています。
1.液体タイプのアクドメ材
2.左官下塗り材にアクドメ材を混入したタイプのもの
3.クロスなどを張ることにより下地と縁を切りアクドメをする
1のタイプについて。
四国化成工業「シーラーB」
ハネダ化学「ハイポリックシーラー」
アク止め処理を行い、ベニヤ面を左官の面をしっかりと縁を切ってアクの発生を防ぎます。
すこしテカッているのがアク止めを塗った面です。
塗膜でベニヤのアクをシャットアウトする方法です。
左官工法のアクドメの中でももっともポピュラーだと思われます。
次は2のタイプ
左:四国化成「スーパーカーボンコート」 右:アトピッコハウス「下塗革命」
左官下塗り材にアクドメを混入してあるタイプの下塗り材は、
下塗り施工のときにアクドメを兼ねているという利点があります。
液体のアクドメ材は完全に乾燥しないと塗膜が形成されず、
アクドメの役割を果たさないため、乾燥したかどうかの見極めが重要でした。
左官下塗り材にアクドメが混入されているタイプのものは下塗りのため、
基本的には翌日以降で無いと仕上げ施工へはできないのですが、
そのため、あせって仕上げ材を塗ってしまいアクが出たというようなトラブルがありません。
その代わり、施工日数が掛かります。
当社では色の強いベニヤ面などには液体のアクドメをし、
更に左官下塗り材にアクドメ混入タイプを塗って万全な施工をします。
というのは1の液体のアクドメ材を何回も塗ってアクドメを施してもアクが発生することがあるためです。
アクが出てしまうとせっかく仕上げた面がやり直しになります。
アクドメをやりすぎてダメだということは無いので、できる限りアクが止まる施工を行います。
3のクロスなどを貼る方法ですが、
これは塗り壁用のクロスなどを張ることで下地と完全に縁を切る、
シャットアウトしてしまうことですビニルクロスを張り、
その上に下地処理をして塗り壁を施工しても良いのですが、今は塗り壁下地用のクロスも出ています。
不織布のクロスで下塗り不要なため、クロスを貼る工程を組み込むのであれば、
塗り壁下地用のクロスを張ることをお勧めしています。
村樫石灰工業 MKシートの紹介サイト
村樫石灰工業 製品情報:MKシート
http://www.murakashi.co.jp/kenzai/mkshitajiseat.html
リック株式会社 注目の商品情報:MKシート
http://www.lic-net.jp/info/?m=MakerInfoD&id=828
当社でもこのクロスを張った後に漆喰を仕上げた事例があります。
左官の施工会社も当然のこととして、
アク・シミのないきれいな仕上がりでお客様にお渡ししたいと思っています。
そのためには、
新規に下地を立てる場合はなるべくアクが出ない材質のものを選んでいただければと思います。
同じベニヤでもラワンベニヤとシナベニヤでは赤みが多いラワンベニヤがアクを出しやすいです。
アクが出てしまうと塗り替えの時間がかかるだけでなく、お客様にも悪い印象を与えかねません。
なので、ベニヤ下地を張る場合はなるべく白いベニヤ、シナベニヤを張っていただきたいです。
現場ではいろんな状況が発生しますが、工務店さん、大工さんとも相談しながら、
出来る限りベストのを施工したいというのが職人共通の考えです。
せっかくの塗り壁ですから、
お客様に最高のものをお届けしたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533
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