搔き残すことで表現! 削る仕上げ「リネアルテ」
搔き残すことで表現! 削る仕上げ「リネアルテ」
今回は、?き残す!削る!という左官の表現ではあまりない珍しい仕上げについてお伝えしたいと思います。
まず、もともと左官には?き落とし仕上げという技法があります。
セメントや石灰がベースの材料を固まり始めてから完全硬化する前にワイヤーブラシ等で表面を?き、模様を付ける仕上げです。
日本家屋でもよく用いられた技法で、中に入れる骨材の粒度が大きければ、骨材が飛んでざっくりとした表情になり、骨材が小さければ上品な仕上がりになります。表面にワイヤーブラシなどをかけるため、「荒らしもの」という左官仕上げの一種です。
その?き落とし仕上げですが、バリエーションとしては
・骨材の大小による肌の違い
・骨材の色による見え方の違い
・セメントの着色による色の違い
・ワイヤーブラシの動かし方、幅による模様の違い
などがあります。
そういった?き落とし仕上げですが、それだけではない、新しい表現をすることが出来ます。
それが今回ご紹介する「?き残す」、「削る」ことで仕上げる「リネアルテ」仕上げです。
「リネアルテ」とはライン+アルテ(フランス語でアートの意味)を組み合わせた造語。
風紋のような流れるラインが出ることが特徴です。
※現在、原材料が入手困難なためお取り扱いできない商品になっています。
このような専用道具を使って削ることで模様を付けます。
道具も様々なものを組み合わせることで、大小模様の強弱をつけることが出来ます。
このラインが特徴のリネアルテ仕上げですが、
部分的に?き残すことでレリーフや文字を表現することが出来ます。
今回、都内にあるFMサウンズ様のエントランスにこのリネアルテレリーフ仕上げを施工しました。
施工中の模様はこちら
風紋の柄はラインを引き、それ通りに削っていきます。
文字の部分は型を張り、それをガイドにして削り残します。
段取りが付けば、後は大勢で削っていきます。
リネアルテ仕上げは材料の硬化のタイミングを見て、削る仕上げ。
硬化が始まったら時間との勝負。
細かいところまでしっかりと見て仕上げます。
そして完成!
この仕上げは段々と模様が仕上がってくるため、いつもの左官仕上げとは違う達成感があります。
見習いのM君もロゴの前で記念にパチリ!
仕上がった全体の写真がこちらです。
ランダムに流れる柄が特徴です。
ロゴはこのような仕上り。
この部分は型を作り、抜き文字で作成しました。
リネアルテ仕上げは仕上がりの説明動画がYou Tubeでもアップされています。
動画:「リネアルテ」揺らぎの曲線が作る優美な仕上げ【有限会社原田左官工業所】
いかがでしょう?
リネアルテはこのように塗った後に削りだすことで揺らぎのある模様やレリーフを作り出すことが出来ます。
?き落としという左官の技法を発展させた仕上げ「リネアルテ」。
新しい意匠の一つとして、是非、ご提案ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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