1000万のたましいを呼び覚ます 池袋ウイロード再生事業に参加
1000万のたましいを呼び覚ます 池袋ウイロード再生事業に参加
1000万のたましいを呼び覚ます「色のすること」Tour of WEROAD
池袋ウイロード再生事業に参加
今回は原田左官として池袋のウイロード再生事業に参加したことをお伝えします。
以前暗いイメージだったウイロード。
工事前はこのような状態でしたが、
再生工事を行い、こんなに明るく変わりました。
ウイロードとは池袋に近い人は良くご存じだと思いますが、池袋駅の北側にある東西を結ぶ半地下の通路。
正式名称は「雑司ヶ谷隧道」と言い、大正14年の建設から間もなく100年を迎えます。
戦後のヤミ市があったころから池袋の東西を結ぶ重要な役割を担う通路でした。
しかし天井が低く、「くらい、きたない、こわい」というイメージがあり、「ションベンガード」という不名誉な呼ばれ方もしていました。
池袋は現在、住民・来街者を合わせると1年間に1000万人を超える人が利用しています。
そんな歴史を持つウイロードを過去の歴史も伝えながら、女性が安心して利用できるように再生しようというのが今回のプロジェクトでした。
プロジェクトは美術作家の植田志保さんが中心になり、進んでいきました。植田さんは「色」にフォーカスを当てた表現をしている作家さん。イラストレーションや空間装飾など、国内外で活躍している方です。
その植田先生がウイロードをカラフルに再生することになりました。
今回のプロジェクトはなんと公開制作。
天井部分は池袋駅前の仮設アトリエで、通路の両壁は透明な仮囲いをして制作風景を街の人たちに見てもらいながら進んでいきました。
その模様は豊島区のWEBサイトで紹介されています。
https://www.city.toshima.lg.jp/436/weroad/1812171441.html
このプロジェクトで原田左官は東西のファサードの漆喰(しっくい)塗りを施工し、植田先生と協力し、一緒にファサードを仕上げることになりました。
このように公共の場で記念ともいえる事業に携わることが出来るなんて、非常に光栄です!
まずはデザインの打ち合わせ。
植田先生に当社に来ていただき、打ち合わせをしました。
何度も打ち合わせを重ね、出てきたコンセプトは
トンネル内は色によってキャピキャピと子供たちがはしゃぐ印象のため、ファサードは父・母のイメージにし、子供たちを受け止め抱きかかえるものにしようと決まりました。
ウイロードに入る時に「おかえりなさい」「いってらっしゃい」と受け止め送り出してもらえるようなイメージで試作が始まりました。
東口は父的なイメージ。どっしりとした「おとうさん」のような入り口に、
西口は母的なイメージ。まるさや柔らかさを表し「おかあさん」のような表現にすることになりました。
どっしりとした形や柔らかさを表すために、現状の下地に対して造形した硬質ウレタンフォームを張り付け、モルタルで包み、漆喰の下地を製作することになりました。
植田先生と、我々左官で出来ることや不特定多数の人が通行する部分をどのように長持ちさせるかなど何度も打ち合わせを重ねました。
時にはこんな風に現場で見本板を当てて確認もしました。
少しずつ具体的なイメージが出来上がってきました。
打ち合わせ時のスケッチがこちら。
これを形にしていくために担当したのは当社の斎藤君。
斎藤君は入社2年目。当社に来る前は舞台美術の仕事やアニメーターもしていました。普段は見習いとして鏝を持って仕事をしていますが、当社の美術的な仕事があると先頭に立って仕事をしています。
仕上がりのスケッチとミニチュアの仕上げがこちら。
美術センスを活かしながら製作するという今回のプロジェクトにはピッタリです。
植田先生と斎藤君と何度も打ち合わせをしながらイメージを固めていきました。
徐々に方向性が決まり、次は現場に入る前の準備です。
現場リーダーの斎藤君。実際の現場でのスケール感を想像しながら、当社の倉庫で硬質ウレタンフォームを削り、製作を進めていきます。
これを現場で張り付け、防水モルタルで下塗りをしていきます。
下地の造形が出来上がったら現場で取り付け、いよいよ漆喰塗りがスタート。
植田先生の通路の製作と並行して作業を進めました。
現場作業には斎藤君だけではなく、当社の早川さん、岡田さんも加わって漆喰を仕上げました。
漆喰にはウォーターセラミックというトップコートを塗って撥水効果を施しました。
このウォーターセラミック。
質感を変えず、漆喰の呼吸を止めずに美観を長持ちできるトップコートです。
塗ったことがわからない自然な仕上がりのトップコートなので、漆喰などの無機素材のピッタリの商品です。
白鷺城として有名な姫路城でも塗られている実績もあるトップコートです。
こうしてウイロード再生事業プロジェクトは進んでいき、東口のファサードはこのように変わりました。
工事前
工事後
「おとうさん」のイメージ通りどっしりとしたしめ縄のような造形になりました。
でもまだこれで完成ではありません。
東口の最終スケッチはこちらでした。
この漆喰仕上げの上に点々の模様と、ちょんとした立体物をつけていきます。
完成がこちら。
点々とついている模様は町内会で以前使っていたお祭りの山車の縄を使って模様付けしています。
こうやって、作り直すのではなく、地域の記憶を引き継ぐような仕上げになりました。
縄模様の下にポチっと丸い漆喰がアクセントとしてついています。(通称:ちょん)
「おかあさん」のイメージである西口はどう仕上がったかというと、
工事前
工事後がこちら。こんなに明るくなりました。
西口には池袋の神社で過去に使われていた鈴を使って漆喰に模様を付けました。
鈴を使って丸い模様をつけていきます。
これも地域の記憶を引き継ぐ大事な工程です。
周りの部分は植田先生も一緒に色漆喰を仕上げていただきました。
西口には正面にカラフルで印象的な壁があり、両サイドに丸柱もあります。丸柱も色漆喰で仕上げています。
非常にカラフルで、以前との変化も大きかったので、この街の中に馴染むかどうかとも思いましたが、すっかり街の風景に溶け込んだようです。
ここからまた新しいウイロードの歴史を重ねていければよいなと感じています。
そんな歴史の1ページのようなプロジェクトに携わることが出来て本当に光栄です。
池袋にお立ち寄りの際は是非この通路を通ってみてください。
色や漆喰から何かを感じていただけるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533
左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」
発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
発行責任者:有限会社原田左官工業所 原田宗亮
HomePage:http://www.haradasakan.co.jp/
メールアドレス:sakan@haradasakan.co.jp