現代の空間に土を!風土~FUUDO~天然土を使った仕上げ
現代の空間に土を!風土~FUUDO~天然土を使った仕上げ
今回は天然土の仕上げ「風土~FUUDO~」のご紹介です。
天然土の仕上げ「風土~FUUDO~」は主材のほとんどが天然土で出来ている左官仕上げ。
天然の土なので、見た目にも優しい色合いで、手で触れることから土のぬくもりや優しさを感じることができます。
土という人間の視覚と触覚に直接訴えかける自然派の仕上げ材。
自然派の材料でありながら土の仕上げで起こりうるデメリットをできるだけ少なくした仕上げです。
まず、原田左官オリジナル土仕上げ「風土~FUUDO~」のメリット・デメリットをお伝えする前に、一般的な土の仕上げについて考えてみます。
■一般的な土の仕上げのメリット、デメリット
一般的な土や土の仕上げの良い点はこのようなものがあります。
土の良い点
- ・自然な風合いがある
- ・優しさ、温もりを感じられる
- ・心地よさがある
一方、使いにくい点はこのようなものが挙げられます。
土の使いにくい点
- ・乾燥するとボロボロと粉っぽくなる
- ・ボロボロすると周りを汚す
- ・表面強度が弱い
- ・水に弱い
土の仕上げは近年人気になっています。
特に内装、インテリア分野では土の風合いを求められることが多くなっています。
無機質になりがちな現代の空間に土などの天然素材を出来るだけ取り入れていきたいと考える方が多いと実感しています。
一方で、一般的な土を室内にそのまま持ち込むと擦れて衣類に粉が付く、崩れてボロボロして床が汚れるなどのデメリットもあります。
私も天然土をそのまま室内に持ち込んで大変だった経験があります。
以前、ビルの中で左官イベントを行ったとき、しっかり養生はしていましたが、土の材料が来場者の靴底から周囲に広がり、石の床やガラスについて汚してしまったということがありました。
その時の来場者の感想に「土は好きです。ただ、ビル全体が咳き込んでいるようにも思えた。」と書かれていてショックを受けた記憶があります。
土の風合いは良いのだけれど、そのままガラスと石が主な現代の空間に持ち込むのは難しい。そう思っていました。
しかし、今回、土に油と微量の樹脂との組み合わせることにより、土の風合いを活かしながら強度を出す仕上げ方法を作ることができました。
それが天然土の仕上げ「風土~FUUDO~」。
土のデメリットを出来るだけ解消した仕上げ材です。
■土の仕上げ「風土」のメリットと土のデメリットを解消した点
土の仕上げ「風土」の良さ
- ・天然土そのままの風合い
- ・土の色合いが活かせ、退色しにくい
- ・優しい手触り感
このように土の良さを活かしたものです。
「風土」が土のデメリットを解消した点
- ・ボロボロする→擦っても削れてもボロボロしない
- ・表面強度が弱い→床に使用しても問題ないくらい強い
(鉛筆強度6H程度あります。注:当社社内試験にて) - ・水に弱い→オイル系等のトップコートにより水をはじく
仕上げ材としての特徴はこちらです。
- ・1mm程度の薄塗り仕上げが可能
- ・壁だけでなく床にも仕上げられる
薄塗りで表面強度があるため、テーブル天板やイスの座面など家具に塗るケースも多いです。
木工下地にも問題なく塗ることができます。
木工下地に風土を施工したものを裏から見た状態がこちら。
このように木工下地に1mm程度で土の肌が仕上がります。
1mmの厚みで天板を仕上げています。
こちらは椅子の座面に塗った例です。
■「風土」の標準色
風土の現在標準色は6色です。
これら6種類の土以外にも左官で使用する土であれば基本的には使用可能です。
土の色は力強い。
天然の色を活かした仕上げは存在感があります。
こちらの写真は2022年1月に施工させていただいた石舟庵熱海店の外壁。
赤錆色の京錆土が印象的な仕上げになりました。
■「風土」の注意点
風土の仕上げの注意点としては色幅があることです。
天然土を主成分にしているため採掘された場所や時期によって色の差があります。
例えば白土は薄いグレーの中でバラツキがあり、浅葱土の青みかがった色も時期によりバラツキがあります。
そこが天然土の良さでもあり、天然のものを扱う難しさです。
サンプル作成時期と現場施工時期が違うとロット違いで色の差がある場合もあります。
取り入れていただける場合は申し訳ありませんが、その点をご了承頂きたいです。
自然のものを扱うというおおらかな視点でこの仕上げを使っていただければと思っています。
天然石、天然木も種類は一緒でも色幅・模様の差があります。自然が作ったものです。
それと同じように土も色の差が当たり前にあります。
大地の一部を使わせていただくという広い心でお使いいただければと思います。
■まとめ
土の仕上げ「風土」は強靭でボロボロしない土の仕上げです。
1mm程度の薄塗り仕上げで表面強度があり、付着力も強いため、木下地にも施工可能です。
今後、壁・床だけでなく、家具に施工することも多くなるのではないかと予想されます。
円形のサイドテーブルに風土を施工した例。
こちらは丸い天板が載ってテーブルになります。
このように採用例が増えている土の仕上げ「風土」。
こういった土のやさしい風合いが室内空間に取り入れられ、人の心にやすらぎを与えるものになると幸いです。
土の仕事をすることで今後も左官の手仕事が世の中の役に立てると嬉しいです。
物件情報:石舟庵熱海店
この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533
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発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
発行責任者:有限会社原田左官工業所 原田宗亮
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