【廃材利用!】テラゾ仕上げでのアップサイクル事例12選
【廃材利用!】テラゾ仕上げでのアップサイクル事例12選
今回はテラゾ工法(テラゾの製造方法を活かしてアップサイクルするという話です)を用いてアップサイクルするというお話です。
・テラゾとは?
・アップサイクルテラゾについて
・再生できるものは?
・事例紹介
・これからの展開
・テラゾとは?
テラゾは砕石をセメントで固め、石として再生したのが始まりだと言われています。
石は建材の中でも最高級な部類に入る仕上げ材です。大きな一枚の石で仕上げたものは高級感だけでなく、存在感も感じることが出来ます。
一枚の石を切り出すにも、現場で加工するときも石の端材が出ます。その端材をセメント等のバインダーで固め、モザイク大理石のように再生したのがテラゾの始まりだと言われています。
(色違いの砕石を埋め込み模様を作った伝統的な工法:イタリアマントヴァ)
これは伝統的なテラゾ仕上げの例。
床に塗ったセメントの中に色別で石を埋め込み、模様を出しています。
細かくなってしまった石の粒をバインダーで固め、あらためて石のようにする。
本物の石とテラゾを肉に例えると、このように表せます。
本物の石=一枚のステーキ
テラゾ=ハンバーグ
細かくなってしまったひき肉をつなぎで固め、また一つの塊にしたもの。
石のハンバーグ=テラゾ仕上げというイメージを持って頂ければとわかりやすいかと思います。
バインダー(つなぎ)を利用し、石を再構築する。
それがテラゾです。
この「バインダーに石を混ぜる」段階から、独自の仕上げ材として進化させていきます。同じ色の石だけでなく、複数の色、サイズを混ぜることで逆に本物の石には無い模様を作り出すことが出来るようになりました。
骨材も砕石だけでなく、ガラスを入れる。固化材もセメントではなく樹脂を使うなどテラゾは独自の進化をしていきます。
今でもセメントがバインダーのセメントテラゾが主流ですが、現在はセメントに樹脂を混合した複合型やエポキシを固化材としたエポキシテラゾもあり、従来品と比べクラックが入りにくいなどメリットがあります。
・アップサイクルテラゾについて
アップサイクルテラゾは当社で作った造語です。
テラゾは前述のとおりバラバラになってしまったものを固化材で再構築したものです。砕石、骨材を固化材で再度、ひと塊のものに再生します。
当社でテラゾ仕上げを施工していくうちに、「テラゾ」と「リサイクル」は結びつけられるのでは無いかと考えるようになりました。テラゾは粉々になってしまった砕石を固めて再利用するというリサイクルの観点が元々ありました。また、混ぜるものを工夫することで新しい価値も生み出せました。
テラゾが新しい魅力が引き出せたように、混ぜるものにリサイクル材を活用し、磨き上げることでリサイクル材をかっこいい模様として見せ、価値を向上させることが出来るのではないか?
テラゾとリサイクル材を組み合わせることで、価値の向上とリサイクルという2つの成果を同時に実現するアップサイクルが可能となります。
それを当社では「アップサイクルテラゾ」と呼ぶことにしました。
・再生できるものは?
実際、テラゾとして再生できる骨材・混入材はかなりの種類があると感じています。
今までの当社の実績でも木片、ガラス、コルク、陶器、タイル、金属、人工大理石、様々あります。
試作をする必要はありますが、基本的にある程度の固さがあるものであれば再生可能です。
(スポンジやゴムのようなものは形になりませんでした。布切れも難しいです。糸くずのようなものは出来る可能性があります。)
石材に関しても従来テラゾで使われている砕石だけなく、その土地の石を混入することも出来ます。
・事例紹介
サンプル事例をご紹介します。
(サンプル事例の中にはリサイクル材では無いものも含まれます。施工可能な事例案としてお考えください。)
例:十和田石
独特なブルーグリーンが特徴の十和田石。
滑りにくいため浴室に使うことが多いこの石ですが、砕石になったものをテラゾで再利用したサンプルを作ってみました。
こちらがテラゾになった状態。
細かい石の粒も十和田石の砕石です。
水で濡らすとブルーグリーンが強調されて綺麗です。
例:伊予青石
愛媛県伊予の地域で取れる青石の砕石。
この石もブルーが特徴。
庭石などで使用されることが多いこの石ですが、砕石になったものが活用できないか、サンプルを作りました。
この石も濃い青が綺麗です。
そこにまつわるものを入れることも出来ます。
例:高炉スラグ
製鉄所で発生する高炉スラグをビールストーンに混入した例。
こちらが高炉スラグ。
これをビールストーンに入れてカウンター天板にしました。
例:金属
銅線を細かく切り、混入した例
銅線の端材はビールストーンに混入して研磨することで光沢が出てキラキラします。
アイデア次第でまだまだ見たことが無いテラゾ柄を作ることが出来ます。
例:割れてしまった天然石
割れてしまった天然石をテラゾ仕上げで蘇らせることも出来ます。
割れてしまった天然石を使って、あえて隙間を開けて貼り、
ビールストーンで仕上げます。
テラゾの中に大きな石が柄にように入り綺麗です。
例:瓦
瓦を再利用したビールストーン仕上げ
アクセントに白い石も入っています。
この建物が立つ前にあった木造の家の瓦を再利用しています。
瓦は砕くと断面に色ムラがあり、テラゾ骨材としても面白いです。
例:お茶の葉
変わったところだとお茶の葉を入れた例もあります。
こちらは廃棄の茶葉ではないため、アップサイクルではありませんが、施工例としてのご紹介です。もちろん廃棄する茶葉でも同じことが出来ます。
楕円の玉石と一緒に四角く見えるものが茶葉です。
例:シーグラス
砂浜に打ち上げられているシーグラス。
波で洗われ、自然のブラスト加工で優しい表情になります。
例:アップサイクルテラゾ-木片
2022年11月の展示会BAMBOOEXPOではミニチュアテーブルでアップサイクルテラゾの例を展示しました。
例:アップサイクルテラゾ-銅紛
例:アップサイクルテラゾ-貝殻
例:アップサイクルテラゾ-廃コルク
このミニチュアテーブルシリーズの中でも木片は評判が良かったです。
木とテラゾは意外と合うのかもしれません。
・これからの展開
アップサイクルテラゾは工法の提案です。
当社でなければ出来ないという仕上げではありません。もちろん当社にご依頼いただければ大変うれしいですが、それ以上にテラゾという工法を用い、アップサイクルすることで左官業界全体の価値が向上すれば私としても幸いです。
当社では今まで様々な素材の再生にチャレンジしていますので、ノウハウの蓄積はあります。ご相談頂ければ、過去の実績から綺麗に仕上げる方向を提示し、形にしていけるよう努力します。
テラゾの世界も今はビールストーンなど割れにくいテラゾ材料が多数出ています。
そのため施工できる場所も壁・床だけでなく、天板、什器、オブジェなど様々なものに広がっています。
割れにくく硬いテラゾの材料が揃ってきた今、アイデアを加えればまったく新しいテラゾを作る環境は整っています。
アップサイクルテラゾ。
生産活動の中で出る廃材・端材、ロス品、解体前の建物で使用されていた建材の欠片などアップサイクルテラゾで再生できるものは限りなくあると感じています。
テラゾ工法であなたのアイデアを形にしませんか?
活躍の場を失った素材に新たな命を吹き込む。
アップサイクルテラゾは未来のある工法です。
是非、あなたのアイデアをお待ちしています。
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この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533
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発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
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