【伝統から現代へ】洗い出し仕上げの魅力と施工法
【伝統から現代へ】洗い出し仕上げの魅力と施工法
今回は古くから伝わる伝統的な左官仕上げの一つ、「洗い出し」について改めてご紹介します。
〇洗い出し仕上げとは
〇洗い出しの施工手順
〇洗い出し仕上げのアレンジ
・ネットストーン工法
・ガラス洗い出し仕上げ
・三和土風仕上げ
・樹脂系の洗い出し仕上げ
〇洗い出し仕上げとは
洗い出しとは、セメントやモルタルの表面を水で洗い出し、砂や石の粒を露出させる技法です。
セメント系の材料は骨材が大きくなるほど仕上がりが硬くなります。大きな骨材を使うと強度が上がるので、その耐久性と装飾性から、特に外壁や床の仕上げに使われることが多い仕上げです。住宅や商業施設、公共施設など、幅広い用途に適しています。
石や砂の種類、粒の大きさを変えることで、多様な表情を生み出すことができるのも洗い出し仕上げの魅力です。
〇洗い出しの施工手順
洗い出しの施工は、まず種石とセメント・石灰などを混ぜ、塗りつけ、鏝でしっかり伏せ込みます。
塗りつけたあとは、セメントが硬化する前に表面のセメントを水で洗い出します。
この洗い出す工程は、刷毛やスポンジで拭き取ることもでき、現在では現場を汚すこともありません。
〇洗い出し仕上げのアレンジ
洗い出し仕上げは伝統的な工法だけでなく、現代的なデザインにアレンジすることもできます。以下でいくつか紹介いたします。その中で今回特にお伝えしたいのがネットストーン工法です。
・ネットストーン工法
ネットストーン工法とは、種石がネットに張り付いたものを使用する工法です。
これを使用することで、3分(12mm程度)などの大きな種石では難しかった天井や大きな面積、床から壁を続けて同じ仕上げで張りこむ施工も可能になりました。
ネットストーン工法は施工が簡単で、時間と労力を大幅に削減することができます。同時に種石が均一に配置されるため、よりきれいな仕上がりになります。
種石と目地の種類や色を変えることで表情もまったく変わる、デザインもしやすい施工です。
・ガラス洗い出し仕上げ
ガラス洗い出し仕上げは砕いたガラスを入れ、表面を洗い出すことで、光の反射でキラキラと輝く仕上がりになります。
・三和土風仕上げ
洗い出しの石をまばらに配置することで、三和土風の仕上がりにします。
セメントの色を調整することで土に近い質感を表現できます。
・樹脂系の洗い出し仕上げ
固化材に樹脂を用いた洗い出し仕上げです。
水をまったく使用しないため、制限のある施工場所でも使いやすい仕上げです。
洗い出し仕上げは現代の建築にも幅広く取り入れられています。
伝統的なデザインから現代的なアレンジまで、その表情はさまざまです。
ぜひこの仕上げとアイディアを組み合わせて新しいデザインを作ってみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533
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