床コンクリート調仕上げ Pタイル・床シートを剥がさず! その上にリニューアル

床コンクリート調仕上げ Pタイル・床シートを剥がさず! その上にリニューアル

床は商業施設の中で大きな面積を占める部分。
綺麗な床はお店全体を明るく見せます。
お店全体を改装しなくても、古くなって汚れてきた床を新しくするだけでもお店の印象をガラッと変えることができ、集客力も格段にアップします。
しかし、床のリニューアル工事は費用も時間もかかり非常に大変ですよね。

今の店舗はPタイルや長尺シートなどの床材で仕上げてあるところも多く、剥がして張り替えている現場をよく見かけます。
仕上げ材を剥がして張り替えるとなると工期も掛かりますが、費用も掛かってしまいます。
新しい仕上げ材を綺麗に貼るためには以前の施工時の糊を剥がさないと浮き出てきてしまい、新しい仕上げ材に影響してきます。不陸があれば左官で下地調整をする必要もあります。
また剥がすことで廃材が発生し、産廃費用も掛かってしまう・・・

お店の運営上の不都合もあります。
床を一度に張り替えるにはすべて荷物を出し、何日間もお店を休業しなければなりません。
半分ずつなどお店を運営しながら改装する場合も導線を確保しなければならず、改装中は不便になってしまい、お店の運営的にはマイナス面が多いです。

今回ご紹介するのはそんな床リニューアルに困りものの、工期、廃材問題を解決したものです。
既存のPタイル・長尺シートを剥がさずに、床にコンクリート調仕上げを施工した例のご紹介です。

このお店は物販店。
2フロアで平米数はなんと合計1800m2の床面積です。
リニューアル工事をするのにあたり、今のPタイル、長尺シートからモルタル・コンクリート調に仕上げを変えたいというご要望でした。

施工の条件は
・工期は1フロア1週間程度しか取れない
ということ。

これではとても床を剥がして貼り替えていくということは出来ません。

そのため、今回は既存の床材の上に左官仕上げを施工する
という方法を採用しました。

お店の現状の床は写真のようなPタイル。

物販店舗の施工前のPタイル既存床
(既存床 Pタイル)

物販店舗の施工前のPタイル既存床

物販店舗の施工前のPタイル既存床

まず、今回の施工の前提条件として

・床コンクリートやモルタルの上に既存床材が施工されていること
・既存の床材がしっかりと密着していること
・床材による収縮クラックは発生するおそれを了承してもらうこと
・既存床に対しての塗り替えのため、5%程度の浮きや剥がれは了承していただくことがあります。

既存の床が木やその他のもので上げた組床下地の場合は床の沈み込みが大きく、新規の左官仕上げ材がはがれてしまいます。
既存の床材が床にしっかり付いていなければ、新しい仕上げ材をいくらしっかりと密着させても、床材とその下の床で剥離してしまいます。
また、既存床材が乾燥収縮により動くような場合では仕上げ材は追従しないため、クラックが発生してしまいます。

その前提条件を確認、了承を頂き、施工することになりました。

既存の床はこのような状態。

物販店舗の施工前のPタイル既存床

ワックスで保護され、かなりツヤがある状態でした。

ワックスをリムーバーで剥がし、その後、既存Pタイルを仕上げ材が食いつきやすいように目荒らししていきます。

リムーバーで既存床からワックスを剥がし目荒しをしている
(既存床 目荒らし)

その上に専用プライマーを塗ります。

目荒し後の床に専用プライマーを塗っている
(床 プライマー塗り)

目荒し後の床に専用プライマーを塗っている

このプライマーは水性ですが、通常のプライマーに比べ、すごく密着力があるものです。

乾燥後、特殊モルタルを塗ります。

施工店舗の床に特殊なモルタルを塗っている
(床 特殊モルタル塗り)

今回の材料は薄塗床仕上げ用に特別に配合されて材料。
硬度7のガーネットが骨材として配合されており、薄塗ですが、コンクリートの約3倍の強度がある材料です。

仕上がりの目標はこちら。

特殊床薄塗モルタル仕上げの仕上がり目標サンプル
(特殊床薄塗モルタル仕上げ サンプル見本)

事前に作成した見本です。
自然なムラ感のある明るいグレーのモルタル仕上げです。

プライマー塗布後、特殊モルタルを2回塗ることでこの仕上げにします。
作業中も奥にお店の事務所があり、導線を確保しながら、施工を行いました。

特殊モルタル施工中の店舗床
(床 特殊モルタル塗り)

そのため、日にちを分け、区画を区切りながらの施工となり、
モルタル通しの塗り継ぎジョイントが出ることは了承していただくことになりました。

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工中の店舗床。下塗り塗布工程完了時の床
(特殊床薄塗モルタル仕上げ 下塗り塗布)

一気に仕上げなければならず、非常に大変な施工でしたが、
職人さんたちがチームワーク良く施工したおかげで工期通りスムーズに仕上げることが出来ました。

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工中の様子
(特殊床薄塗モルタル仕上げ)

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工中の様子

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工中の様子

特殊モルタル塗りが終了後、表面を整えていきます。

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工中の床。表面を整える工程完了時

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工中の床。表面を整える工程完了時

その後、表面保護材を塗って仕上がり。

仕上がってOPEN後がこちらです。

特殊床薄塗モルタル仕上げの店舗床。表面保護材を塗り施工完了の状態

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工完了後の床。施工した物販店舗の様子

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工完了後の床。施工した物販店舗の様子

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工完了後の床。施工した物販店舗の様子

この施工。

2016年の年頭に仕上げたものです。
3年以上たった現状はどうなっているか、先日、確認に行きました。

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工完了後の床。施工した物販店舗の3年経年後の様子
(特殊床モルタル仕上げ 3年経年後)

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工完了後の床。施工した物販店舗の3年経年後の様子

特殊床薄塗モルタル仕上げ施工完了後の床。施工した物販店舗の3年経年後の様子

3年経過した状態でも特殊モルタルの状態はしっかりと保たれていました。

その間も10㎝程度の浮きが数か所発生した。
数か所の下地の動きによるクラックが入った。
ということはありましたが、補修により解消し、綺麗な状態になっています。


既存の床材を剥がさずに左官仕上げを施工する場合には、なかなか100%の施工は出来ないため、お客様、施主様のご理解も必要にはなりますが、このようにご理解いただければ、床材を剥がさずにリニューアルすることもできます。

廃材を出さず、お店をリニューアル。
これからの世の中に是非提案していきたい工法です。

協力:エコリバイバル

最後までお読みいただきありがとうございました。

お問合せ先

有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533

左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」

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