遂に日本上陸!「MATTEOBRIONI®」 イタリア現地で見てきた原田左官がお伝えします。
遂に日本上陸!「MATTEOBRIONI®」 イタリア現地で見てきた原田左官がお伝えします。
代表の原田です。
前回、前々回と日本の土壁についてお伝えしましたが、今回はイタリアの土壁「MATTEOBRIONI®」(マッテオブリオーニ)についてお伝えします。
- ・「MATTEOBRIONI®」マッテオブリオーニとは?
- ・「MATTEOBRIONI®」との出会い
- ・「MATTEOBRIONI®」の特徴
- ・自然由来のカラーバリエーション
- ・様々な部位に施工可能
- ・「MATTEOBRIONI®」の施工例
- ・「MATTEOBRIONI®」の日本での展開
- ・「MATTEOBRIONI®」の選び方
- ・色の種類
- ・仕上げ部位
- ・仕上げ方法
- ・見本板の作成
- ・「MATTEOBRIONI®」をご検討の方へ
「MATTEOBRIONI®」マッテオブリオーニとは?
「MATTEOBRIONI®」(マッテオブリオーニ)とは土から生成されている仕上げ材。
イタリアヴェローナの南、マントヴァという地域で作られています。
自然由来の豊かな色合いと、壁面だけでなく天板や床にも使用できるのが魅力です。
原田左官では以前からこの材料について注目していましたが、2023年より正式に日本で発売・施工できるようになりました。
この土の仕上げ材はイタリアのマントヴァという地域のレンガ製造会社に生まれたマッテオブリオーニ氏が作り出した左官材料です。
彼がレンガ製造で蓄積されていた技術を左官材料製造に応用し、天然の土を活かした左官仕上げ材を完成させました。
マッテオブリオーニ氏が開発した材料が「MATTEOBRIONI®」(マッテオブリオーニ)。
そのため、会社名も材料名もブランド名も「MATTEOBRIONI®」(マッテオブリオーニ)なのです。
「MATTEOBRIONI®」との出会い
マッテオブリオーニ氏(以下、マッテオ氏)と私との出会いは2018年に遡ります。
ビッグサイトで開催されたIFFTインテリアライフスタイル展のイタリアブースの中に「MATTEOBRIONI®」が出展されていました。
初めて見て驚いたのは
「イスや天板に土を塗っている!これはホントに土の仕上げなのか!」
ということ。
通訳さんを介してコミュニケーションを取り、土の仕上げ材であることを理解しました。
日本ではちょうどモールテックスが浸透しだした頃で、天板や什器にモルタル調左官仕上げをするということが認知され始めていた頃です。
その当時すでに、この「MATTEOBRIONI®」はモルタル調ではなく、天然の土を天板・什器・イスに美しく仕上げていました。
魅力は土の優しい質感を視覚的に感じられること。天然の色合いは目から来る優しさがあります。さらに視覚だけでなく、手触りも土の柔らかさがあり、触覚的にも土の優しさが伝わってくる仕上げ材でした。
視覚的に、触覚的に伝わる土の仕上げ材、私はすぐにこの材料のファンになってしまいました。
この材料に出会ってから2か月後、すぐに左官仲間の中屋敷さん、小野さんとイタリア現地に行き、実物を見てきました。
(MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社ショールーム外観)
テーブルや床、階段に当たり前のように土が塗られていることに驚き、質感の良さもイタリア現地の実物から感じることができました。
(MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社ショールーム内観、テーブル・床・壁面土の仕上げ)
(MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社ショールーム内観、床・テーブル土の仕上げ)
(MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社ショールーム内観、イス・テーブル・床土の仕上げ)
(MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社ショールーム内観、階段・床土の仕上げ)
その年(2018年)の冬に再度MATTEOBRIONI社を訪れ、この材料の施工研修を受けました。
(2018年12月MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社研修)
(2018年12月MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社研修、研修講師のリンダさん)
翌年の2019年にも当社の高木さん、江口さんがMATTEOBRIONI社に研修に行き、社内で扱える人を増やし、理解を深めていきました。
(2019年6月MATTEOBRIONI®マッテオブリオーニ社研修)
イタリア現地では壁面装飾、テーブル、床、イス以外にも、階段やシャワー室にもこの材料を使用していました。この現地研修で様々な場所に土が使える、もっと土を自由に使っていいのだということを肌で学び、土への発想が広がり、非常に貴重な体験となりました。
様々なところを土で仕上げられる驚きの材料MATTEOBRIONI®について、当社ではこうして深く学んでいきました。
「MATTEOBRIONI®」の特徴
土の仕上げ材「MATTEOBRIONI®」(マッテオブリオーニ)の主な特徴は、
自然由来のカラーバリエーションと、様々な部位に施工可能なことです。
それぞれ詳細を説明いたします。
自然由来のカラーバリエーション
MATTEOBRIONI®の特徴の一つは色です。
マッテオ氏が様々な土壌の地質学的配合を研究し実験を重ねることによって蓄積された知識により、MATTEOBRIONI®のカラーはできています。
そのため、地球由来の優しい色が特徴です。
色の例はこちら。
「Pepe Nero(ペペネロ)」は灰色(黒コショウの意味)。溶岩の粉から生まれているそうです。
(MATTEOBRIONI®PEPENERO、マッテオブリオーニペペネロ:黒色)
「Cipria(チプリア)」はピンク色。サルデーニャ島の砂浜のピンクがかった色調からインスピレーションを得た色。
(MATTEOBRIONI®CIPRIA、マッテオブリオーニチプリア:ピンク系)
「Senape(セナペ)」はからし色。クレタ島シエーナの土地の色が由来。
(MATTEOBRIONI®SENAPE、マッテオブリオーニセナペ:からし色)
「Pannna(パンナ)」はクリーム色。パンナとは生クリームの意味で薄いクリーム色をしています。
(MATTEOBRIONI®PANNA、マッテオブリオーニパンナ:クリーム色)
マッテオ氏曰く、
「天然の土は世界で最も古い建築材料であるだけでなく、人間が自分自身を装飾・化粧するためにも使った材料であり、自身を取り巻く環境を着色するためにも使用した最初の顔料だと認識している。
イタリアやヨーロッパだけでなく、日本、メキシコ、インド、アフリカまで、あらゆる地域の建築で先史時代から、実際に、土は着色のために使用されてきた。
それを左官職人の手によって施すことで、表面の質感を色調と明暗に富んだものとすることができる。」
マッテオ氏はそういった想いを込めてこの「MATTEOBRIONI®」の色を開発したそうです。
様々な部位に施工可能
もう一つの特徴は内装壁面だけでなく様々な部位に施工可能なことです。
「MATTEOBRIONI®」は内装壁面だけでなく、床、テーブル、家具・什器にも施工することができます。
(MATTEOBRIONI®社ショールーム、床、テーブル、家具、什器を土の仕上げにしている)
従来の日本の土壁と言えば強度がなく儚いものとして取り扱われてきました。その儚さも含めて土の良さであり、日本の左官としてはそこが土壁として重要なポイントであると理解しています。
しかし、私はその従来の土壁の良さを充分に理解したうえで、壁面以外にも土を塗ることができれば、もっと土の良さが広まるのではないかと思っていました。
テーブルに土を塗ることで土の柔らかさやしっとりとした質感を見た目と感覚で伝えることが出来ます。素足で歩く床からは直接、土の温もりを感じることが出来るでしょう。
様々な場所に施工することで現代にも土の良さが広まるのではないかと考えています。
様々な場所に土を施工する、それが出来るのがこの「MATTEOBRIONI®」です。
「MATTEOBRIONI®」の施工例
「MATTEOBRIONI®」の施工例です。
(MATTEOBRIONI®施工例:Henry Timi shoroom Milan TerraVista:提供MATTEOBRIONI®社)
(MATTEOBRIONI®施工例:CaffèRoscioli Roma by MORQ MultiTerra Smooth Panna:提供MATTEOBRIONI®社)
「MATTEOBRIONI®」の日本での展開
「MATTEOBRIONI®」は講習を受けた認定施工店による責任施工の仕上げ材です。
今年の12月から原田左官で正式に「MATTEOBRIONI®」の取り扱いが始まりましたが、現在、国内で施工講習会が開催されており、認定施工店が続々と増えています。
関東圏だけでなく北海道・東北・北陸・近畿・中国・九州・沖縄まで全国を網羅する施工店のネットワークが構築される予定です。
施工エリアの心配なく全国どの地域でも安心してスペックインをして頂けます。
「MATTEOBRIONI®」の選び方
- ① 色×仕上げ部位×仕上げ方法で選ぶ
- ② 見本板の作成
「MATTEOBRIONI®」は色と仕上げ部位、仕上げ方法の組み合わせで選びます。
色の種類
色の種類は現在14色。イタリア語での色名です。
仕上げ部位(施工箇所の選択)
内壁、内床、家具(垂直面)、家具(水平面)のどの個所に施工するかを選びます。
MATTEOBRIONI®(マッテオブリオーニ)の現在日本に入ってくるラインナップでは内壁、内床、家具(垂直面・強度を必要としない部分)、家具(水平面)に施工可能な材料になっています。
例:内壁
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)
内床
例:家具(垂直面・強度を必要としない部分)
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)
(Matteo Brioni srlマッテオブリオーニ社:原田左官撮影)
例:家具(水平面)
(Matteo Brioni srlマッテオブリオーニ社:原田左官撮影)
仕上げ方法
フラット仕上からテクスチャー、デコレーション仕上げまで。
MATTEOBRIONI®(マッテオブリオーニ)は基本はフラットな仕上げになりますが、仕上げの部位によってはフラット仕上げだけでなく、テクスチャーを付けた仕上げ、デコレーション仕上げができるものがあります。
壁面であれば、鏝の動いた凹凸のある塗り跡を出すことが出来ます。
先日開催された展示会BAMBOO EXPOではPEPENERO色で鏝跡を残した仕上げを施工しました。
(浜松町MATTEOBRIONI®PEPENEROTM02施工)
施工の様子をYouTubeでご覧いただけます。
動画:【イタリアの土壁】MATTEOBRIONI® 日本での施工 MultiTerraPepeNeroストラクチャー仕上げ【有限会社原田左官工業所】
文字の部分は型を使い、白いMATTEOBRIONI®の材料で仕上げました。
イタリア本国でもこの施工例は多いようです。
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)
その他にも後から石鹸水をかけて滑らかにし、色ムラを出すWABI仕上げやレース等で模様を付けるTerraEvoca仕上げなどデコレーション仕上げは多数あります。
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)Wabi仕上げ
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)Wabi仕上げ
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)TerraEvoca仕上げ
(Copyright 2021 @ Matteo Brioni srl)TerraEvoca仕上げ
色×仕上げ部位×仕上げ方法、この3つを選び仕上げを決定していただきます。
見本板作成
色×仕上げ部位×仕上げ方法をお選びいただいたのち、見本版を作成、実物をご覧いただく流れになります。
現在「MATTEOBRIONI®」の製品は全て日本に入っているわけではないので、見本作成にはお時間と費用を頂くことがあります。(1か月から2か月程度)
お時間がかかり申し訳ないのですが、まず打ち合わせにより、仕上げの方向を決め、サンプル作成をし、実物の色と質感をご覧いただいてからご発注を頂く流れになっています。
せっかく土の仕上げを行うのだから、実物をご覧いただき、手に触れて質感にもご納得の上、決定してただきたいと思っております。
「MATTEOBRIONI®」をご検討の方へ
当社の左官ライブラリーには全種類の色見本と今まで作成したテクスチュアの一部、施工写真を揃えております。
まずはどのような種類があるか、どんな色やテクスチュアがあるかをサカンライブラリーでご覧いただき、「MATTEOBRIONI®」についてご理解いただければと考えております。
日本の土壁ももちろん良いものですが、イタリア現地で見たような土で包んだやさしい空間を日本でも実現できればと嬉しいです。
この材料でしか出せない土の魅力が必ずあります。
あなたの空間をやさしい土の仕上げで。
「MATTEOBRIONI®」はそれが実現できる材料です。
お問い合わせはこちらから。
■お仕事に関するお問い合わせフォーム
この記事を書いた人
有限会社原田左官工業所代表の原田。
二級施工管理技士/左官基幹技能者/タイル検定二級。
(一社)日本左官業組合連合会監事及び青年部の副部長。
左官の講習会やワークショップを企画・開催し、左官の啓蒙活動を行っている。
建設業界のダイバーシティを推進し、女性の左官業界への参加の手助けや新しい人材の採用育成に力を入れている。
著書に「新たなプロの育て方」㈱クロスメディアマーケティング
「世界で一番やさしい左官」㈱エクスナレッジ
お問合せ先
有限会社原田左官工業所
113-0022 東京都文京区千駄木4-21-1
電話番号:03-3821-4969 FAX番号03-3824-3533
左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」
発行元:有限会社原田左官工業所・株式会社エイチアール
発行責任者:有限会社原田左官工業所 原田宗亮
HomePage:http://www.haradasakan.co.jp/
メールアドレス:sakan@haradasakan.co.jp