左官で作る塀について

左官で作る塀について

左官で作る塀について(原田宗亮)

 

いろいろな塀を見ても、コンクリートブロックやフェンスが塀の主流になってしまいましたが、
やはり左官で作った塀や土塀は景観として面白みがあると思います。

土塀といえば、信長塀や太閤塀など古い築地塀(ついじべい)がいくつも残っています。
(築地塀とは土で作られた塀のことを指し、大きなくくりでは版築で作った塀もその他の土で作った塀も築地塀と呼んでいます。)

太閤塀

版築工法で作った築地塀

築地塀の中でも土と瓦を交互に積み固めた練り塀が誰でも見覚えがあると思います。
本来は土の塀を丈夫にするため、
瓦を土の間に差し込んで強度を出し、土が早く締め固まるようにという目的がありましたが、
(本来の練り塀は上塗りで瓦が見えるのを隠してしまいます。)
それを見た目の面白さと瓦が雨水から土を守るという点で活かされたものです。

当社の近くの谷中 観音寺にも練り塀が残されていて平成4年にまちかど賞を受賞しています。

谷中観音寺

観音寺の練り塀は土の上に元々は黒漆喰をかけていたようです。


なかなか今の時代に土壁で塀を作るのが難しい場合には、
カラーモルタルで掻き落としの技法を用いた表現もお勧めです。

瀬田展示場

墨モルタルワラ入り掻き落とし

色によっては土壁のような自然な風合いを作ることもでき、セメントモルタルなので丈夫です。

また、左官の壁の場合、やはり庇はつけた方が汚れに対して長持ちします。
笠木が無くシンプルな塀が多いですが、左官の壁の場合、汚れた水を吸い込んでしまうものも多いため、
汚れが定着してしまい、落ちにくくなります。
そのため、左官の壁の場合は笠木を付けることをお勧めしています。
笠木をつけない場合は、やはり左官の中でも樹脂系のもののほうが汚れには強いと思います。
(厳密に言うと水洗いができる)

アイカ工業のジョリパットや四国化成の美ブロなど色も豊富で汚れても高圧洗浄ができるものがあります。
これらのものの場合、
仕上げ材なのでブロック塀や万年塀(ジョイントで割れるリスクはありますが)の上に塗ることができます。

美ブロ施工前


美ブロ施工後


美ブロ施工前


美ブロ施工後


ジョリパット施工前


ジョリパット施工後


ジョリパット施工前


ジョリパット施工後


ジョリパット施工後


風化して味が出てくる塀、樹脂で強さを保つ塀。考え方はいろいろありますが、
いずれにしても塀は建物の顔ですから、こだわったものにしたいですよね。

太閤塀写真引用、参考ブログ:imokoyama今日は良い天気
http://blogs.yahoo.co.jp/sueto4/53496390.html

最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

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左官のミライ通信「Sakan Concierge(左官案内人)」

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