光る泥だんごは何故光る?
光る泥だんごは何故光る?
光る泥だんごは何故光る?(原田宗亮)
今回は光る泥だんごの話。
泥だんごと言うと幅が広く、子供たちが公園で作る泥だんごや砂をかけて、
または色んなアイデアで硬くして、ぶつけて強さを競ったりしたことを思い出す方もいるかもしれません。
今回の泥団子は左官の技術で作る光る泥だんごのお話です。
泥だんご
これは一見、球形にした大理石のように見えますが、土で出来た泥だんごです。
左官の技術を応用することで、
完全に近い球形で、光り輝くようなピカピカな泥だんごを作ることが出来ます。
左官の技術というのは大津磨きの技術です。
(遠山記念館の大津磨き)
大津磨きとは石灰に土を入れたものを塗りつけ、鏝を何度も当てて表面を滑らかに緻密にし、
光沢があるツルツルピカピカに仕上げた壁です。
(厳密に言うと光る泥団子は糊を入れているので現代風大津磨きになるようです。)
(大津磨きの赤)
鏝の作用によって、壁表面の粒子を均一な方向に揃え、滑らかにすることで、ツヤが出てきます。
(表面が荒れている、滑らかでないと光が乱反射してピカピカにはなりません。)
左官の最高級な技術である大津磨きを遊びの中に取り入れたのがこの光る泥だんごです。
最終仕上げの目標として、真ん丸でツルツルピカピカなものを作るためには下地が重要です。
大津磨きもそうですが仕上げの層は紙1枚分程度しか厚みないので、
光る泥だんごを作るためには、真ん丸の下地を作る必要があります。
泥だんごを壁塗り工程と同じように考えると分かりやすいと思います。
その1
泥だんご:芯を作る
壁:荒壁を塗る
まず、真になる部分を作ります。
壁で言えば、荒壁塗りの部分。厚みをつけ、ある程度の精度でしっかりと丈夫なものを作ります。
荒壁のように土と砂、ワラを混ぜたものをしっかりと手で握って芯を作ります。
そして荒壁と同じように数日間乾燥させます。
しっかり乾燥させないと土が収縮してひび割れが出ることがあります。
その2
泥だんご:削りながら中塗り土を塗る
壁:中塗りをする
次は壁でいう中塗りの工程。
しっかり乾燥させた泥だんごを表面だけ水に濡らし、柔らかくしてから、
キャップのような円形のものでガリガリと削っていきます。
削り
凹んでいる部分は土をつけて球形に近づけていきます。
(なぜ円形のもので削っていくかというと、円が接する点を立体で延長していくと球形になるからです。)
この工程でほぼ球形にしないときれいな泥だんごに仕上がりません。
下地が平らでないと、仕上げ層は紙一枚分しか厚みがないので、うまく仕上がらないのです。
(壁を塗る工程では削るということはありませんが、中塗りできっちりと平らな下地を作ります。)
飛び出たワラなどはバーナーで焼き、とにかく何度も削り、ほぼ球形に近づけていきます。
その3
泥だんご:仕上げの土をかけ、磨く
壁:上塗りをし、鏝を当てて磨く
下地が完成したら、石灰を入れた下塗りの材料を入れて全面塗ります。
石灰の下塗りがある程度乾燥したら、
仕上げの材料を均一に塗り、ガラス瓶の口やキャップなど球形なもので乾燥状態を見ながら、
上塗りを剥がさないように力加減を注意しながら塗り面に当てていき、磨いていきます。
この工程は鏝を何度も当てて表面を均一にしていく工程と同じです。
材料の乾燥のタイミングで磨ける時間(光が出てくる時間)は限られているので、
その時間で磨いていかないときれいに光りません。
タイミングが早ければ、材料がまだ柔らかく、仕上げを傷つけてしまうし、
固まりすぎたらその後いくら磨いても、光が出てきません。
そのタイミングを見極めることが光る泥だんごでも大津磨きでも非常に重要になります。
(この作り方は東京千石の榎本新吉さんの作り方に近いものです。他の光る泥だんごの作り方もありますので、ご了承ください。)
ツヤが出てピカピカになってきたら、ストッキングなどの滑らかな布でこするように磨くと、
更にピカピカになっていきます。
大津壁で言うと手でこすったり、柔らかい布でこすり壁にツヤを出していきます。
そこでよく、何故、ピカピカに光るのかと聞かれますが、
これは仕上げの土と石灰が入っている材料が粒子が均一な方向になってくることでピカピカになってきます。
どんなものでも表面がデコボコだと光が乱反射してピカピカにはなりません。
キャップや鏝を当てることで表面を均一にし、滑らかにすることで、ピカピカな状態にします。
それは鏡面の状態になり、一見すると磨いた石のような仕上がりになります。
動画で説明しているサイトもありますので、ご覧下さい。
動画:中屋敷左官工業 ピカピカしっくいフラワーボールのつくりかた
http://www.youtube.com/watch?v=HKptjc0J2Nw#t=806
中屋敷左官工業では光る泥だんごのキットも販売しています。
中屋敷左官工業:フラワーボールキット販売のページ
http://www.nakayasiki.co.jp/shikkui/
また、全国各地で左官イベントなどを行われると、
光る泥だんご作りのワークショップを行われることが多いです。
常滑のINAXどろんこ館でも定期的にワークショップが行われています。
INAX:土・どろんこ館 体験教室のページ
http://www1.lixil.co.jp/clayworks/experience/
文章で説明すると分かりにくい部分もありますが、作ってみれば一目瞭然です。
今回、当社でも光る泥だんごのワークショップを行いますので、
ご興味がある方は是非、ご参加、ご見学下さい。
日時:2014年6月21日(土)13:00-16:00予定
場所:西日暮里「むてんかおばけ」
参照:富沢建材㈱ 大津磨き講習会
㈱中屋敷左官工業 ホームページ
最後までお読みいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
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